時計。
こんばんわ。hanakoです。
仕事を終えて家に戻ると
裏の建物に住む大阪のおばさんが来た。
ご飯行こうや。
珍しく、うなぎやさんに連れていってくれた。
しかも 松の特重。
何かあるぞ。
おばさんが話し始めたのは
自分の身辺の話し。
おばさんは、リュウマチを発症した。
脚が痛い、脚が痛いと言い出したので
私が血液検査を勧めた。
結果はヒット。
やはり、リュウマチだった。
リュウマチは完治が難しい。
痛みを和らげて、進行を遅らせるのが先決。
そのために、自分に合った薬を見つけるのが何より大切だ。
なるべく、リュウマチ外来がある病院に行く方がいいのだけれど、残念ながら私の住む街には無い。
近隣の病院に勤める友人の所に外来があるので、連れて行くからそこへ行くように勧めたけれど、おばさんは耳を貸さず、近くの胃腸科病院でついでのように痛み止めの薬をもらっているだけだ。
おばさんが思っているより深刻なんだよ。
薬の種類を見ると、中期。
末期になってしまったら、歩けなくなる可能性もある。
それでなくても、70代のおばさん。
そろそろ、考えなくてはならない事もある。
おばさんから聞いた話では
おばさんは、大阪の大きく商売をしている
家の長女として生まれた。
名古屋のこれまた大きな商売をしている家に嫁いだのだが、12才、10才の男の子二人の子供を残して、家を出た。
関東に流れ着いたおばさんは
埼玉で水商売を始め、バブルに乗っかって
3階建てのビルを建てるほどになったが、全てを失う事があり、お店のお客さんだった2人目の旦那さんと私の住む街にやってきたらしい。
しかし、その旦那さんも7年前に突然亡くなってしまった。
今は内縁の男性の家と、自分の家を行ったり来たりしている。
しかし、その男性ともそろそろ上手く行かなくなっているみたい。
愚痴ばかりをこぼしている。
体が思うようにならなくなり
おばさんは、持ち物の管理を私に頼んできた。
いつも いつも
人との付き合いが、お金がからんだ付き合いしかなかったおばさん。
友達と呼べる人はいても、身の回りの事を頼める人は一人もいない。
たくさんのお礼をしなくては、動いてもらえないから。
内縁の男性すら頼めない。
そんな哀しい関係。
あんたしかおらん。
私が、一番嫌いな言葉を言った。
母親が、私を縛った言葉。
頼りにしている
あんたは特別。
そう言いたくて、使っているのかもしれないけれど
私は、この世で一番残酷な言葉だと思っている。
そして、私の母親がそうだったように
そんな事、思っていない事も知っている。
自分の側を離れないようにする呪文のような言葉。
私にはもう、効き目はないよ。
あんたを娘のように思ってる。
意味のない親子ごっこはやめようよ。
おばさん。
今 おばさんがやらなくてはならない事は
息子さん達と会うことだよ。
途切れてしまった親子の時間を取り戻す事
もしかしたら
もうできないかもしれない。
だけど
向き合わなくちゃいけないよ。
止まってしまった時計を
もう1度動かさなくては。
そうすれば
永遠に
永遠に
時計は動き続けるんだよ。