hanakosaanのブログ

猫と暮らす日々を気ままに書いてます。

雨。

こんばんわ。hanakoです。

 

 雨が降ってきました。

 

 雨が降ると思い出す事があります。

 

 小学生の頃の事。

 予期せぬ雨が降ると

 教室に傘を届けにお母さん達が来た。

 

 授業中に入り口のドアのガラスから

 お母さんが覗く。

 気がついた生徒達がざわつく。

 先生が促すと

 ひとりの子が席を立ち廊下にゆく。

  

 廊下から母親と子供の

 小さな笑い声が聞こえる。

 

 傘を持って教室に戻って来た子の

 少し高揚したような幸せそうな顔。

 

 うらやましかったなぁ。

 

 

 私は傘を持って来てもらった事が無かった。

 

 母親は仕事をしていたので

 傘を持って来る事はなかった。

 

 たぶん私と同じように母親が仕事をしていた子は

 いたはずだから

 すべての子が傘を持って来てもらった訳では

 なかったはずなのだけれど

 

 私は傘を持って来てもらえないのは

 私だけのような気がしていた。

 

 私は愛されていない。

 そう思っていたから。

 

 

 

 雨に濡れながら家に帰った。

 

 誰もいない 暗い家。

 脱衣場で服を着替えた。

 

 寂しさが込み上げた。

 

 

 仕事から帰った母親が

 濡れて洗濯かごに入っている私の洋服に

 気がついて

 

  仕方が無いでしょ

  お母さんはあなたの為に仕事をしているん

  だから。

 

 子供が濡れて帰ったバツの悪さを

 言い訳したのだろう。

 

  風邪引かなかった?

  傘 持って行けなくてごめんね。

 

 それだけで良かったのに。

 

 母親に仕事をさせる私はお荷物だ。

 だから 愛されていないんだよ。

 そう 私は自分に言い聞かせてしまった。

 

 親の愛を感じられない子が

 自信を持って生きて行くのは難しい。

 

 私は随分長い間苦しんだ。

 

 

 

 雨に気がついて帰ってきた猫たち。

 体を拭いてやると

 嬉しそうな顔をして目を細める。

 

 私はあの日の幼い自分を

 愛でているような気がする。

 

 体を乾かして

 お気に入りの毛布の上で寝ている。

 その姿を見るとホッとする。

 

 

 たなかさんや

 しめじはどうしているのだろう。

 濡れていないかな。

 

 雨が降ると思い出す。

 

 濡れながら歩いた

 あの時の私を猫達に重ねている。

 

 冷たい 情けない気持ち。

 

 自分の存在価値を。

 

 

 彼らも

 雨を凌ぐ場所を探し歩いているのだろうか。

 

 

 今度は私が言おう。

 

 これから雨は激しくなるらしい。

 

 いつでもおいで。

 

 濡れないように

 早く帰っておいで。

 

 待っているよ。