hanakosaanのブログ

猫と暮らす日々を気ままに書いてます。

蝉の声。

こんばんは。hanakoです。

 

 暑い日が続いています。

 

 巷はお盆休み。

 いいなぁ。

 と ちょっとひがみhanakoになっている。

 

 ハウス45℃。

 最高記録更新。

 ひがみたくもなってくる。

 

 水撒きをしているとLINEが入った。

 看護師をしている友人からだ。

 

 はい はい 焦げてますよー。

 いったいなんだい。

 

 !!!

 

 目を疑った。

 

  ナオが亡くなった。

 

 足に力が入らなかった。

 

 

 ナオは今年20歳。

 看護師をしている友人の知人の子。

 

 そんな関係で私も親しくなって

 何回か一緒に食事をした。

 

 ナオとはじめて会ったのは8年前。

 ナオが小学6年生の時だった。

 

 ダンスが大好きで活発な子。

 よく食べてよく笑う子だった。

 

 中学に入ると同時に母親が離婚し

 父親の違う姉と3人で

 私が働く花屋さんの側に引っ越して来た。

 

 夜の仕事を好む母親。

 夜遊びに忙しい姉。

 

 ナオは夜ひとりで家にいた。

 夕方スーパーでお弁当を買っていた。

 花屋さんの前を自転車で通る横顔は

 小学生の頃の元気な顔じゃなかった。

 

 送り迎えが面倒だからと

 ソフトボール部も辞めさせられ

 ナオは孤立して行った。

 

 中学3年の時

 ナオが進学しない事を聞いた。

 

 詳しい話はわからないけれど

 母親と亡くなった父親の

 借金を払うから高校に行かないで働きたい

 

 それがナオの考えだった。

 

 離婚したナオの父親は

 ナオが14歳の時に心筋梗塞で亡くなった。

 多額の借金を残して。

 

 義父がひとり残った。

 その義父とナオの母親が

 何かをナオに吹き込んだのだ。

 

 ナオが借金から守りたかったのは

 自分が幼い時から住んでいた家だった。

 

 私と看護師の友人は

 ナオに高校に行くように説得した。

 

  でも早く働いて借金返さないと

  あの家取られたらお母さんかわいそう 

  だから。

 

 いったいあの母親は何をナオに吹き込んだのだ。

 

 私は何度もナオに言った。

 ナオが背負うものじゃない。

 大学まで行って

 それからだって返せると。

 

  でも そんなお金無いから。

 

 何とでもなるよ

 奨学金も特待制度もある。

 

 何度も話してもナオは耳を貸さなかった

 

  ナオがいいって言っているんだから

  余計な事は言わないで下さい。

 

 母親のその言葉が悔しかった。

 あなたはいったい子供に何をさせようと

 しているの?

 

 握りしめた拳を

 後ろから看護師の友人が掴んだ。

 

 ナオ

 あなたが返さなくちゃいけない借金じゃ

 ないんだよ。 

 

 亡くなった父親の借金がなぜ残るのか

 私には事情がまったくわからない。

 

 どちらにせよ

 ナオには関係ない事だ。

 

 私は必死に説得した。

 

 普通の女の子と同じように

 青春を楽しみなさい。

 人生でたった1度の時なんだよ。

 ナオ

 絶対に後悔するよ。

 

 何度言っても

 ナオの考えは変わらなかった。  

 

 中学を卒業して

 ナオは母親が勤めていた工場に勤めた。

 

 間もなく母親は辞めてしまい。

 ナオはバイトとして工場に残った。

 

 安い給料で長時間働いた。

 

 それから間もなく

 ナオも母親も私達と連絡を切り

 今どこで 何をしているのか

 わからないまま5年が過ぎた。

 

 ここから1時間位離れた街で

 友人の知人が偶然

 通りかかった葬儀場に書かれていた

 ナオの名前を目にして

 ナオが亡くなった事を友人に知らせてきた

 

 自分の誕生日の朝

 ナオは命を断った。

 

 ナオ

 5年間あなたはどうしていたの?

 成人式にも顔を出さなかった。

 

 だから辞めろと言ったのに。

 辛かったんだろう。

 

 一番いい時だったのに。

 死ぬほど辛かったのなら

 なんで来なかったんだよ。

 

 助けを求めなかったんだよ。

 

 逃げればよかった。

 その責任感の強さが許さなかったのだろう

 

 ナオ

 ごめん。

 一生懸命探したけどみつからなかった。

 まさかその間にこんな事になるなんて。

 

 あの時母親をぶん殴って

 あなたを連れ出せばよかったのか。

 

 意思が弱かったんだ 私は。

 何もわからないナオを

 もっと守るべきだったんだ。

 

 

 ナオ

 ごめんね。

 

 

 あれから数日。

 私はなんだか力が入らない。

 脱力感におそわれている。

 

 亡き人の魂が帰る今。

 

 蝉の声。

 ナオは何処にいるのだろう