hanakosaanのブログ

猫と暮らす日々を気ままに書いてます。

カッコーの巣の上で。

こんばんわ。hanakoです。

 

 まさか

 こんな事があるなんて。

 

 目の前にいる老医師。

 10年以上前私の弟を診た心療内科医。

 

 偶然にも

 私はその医師にめぐり会った。

 

 

 日本の精神医学は進んではいない。

 今は普通に浸透している心療内科

 あの頃は精神科との区別もなかった。

 

 何がなんだか。

 それがあの頃の私達を表現するには

 ピッタリの言葉だろう。

 その中でやっとたどり着いた所が

 この医師の所だった。

 

 責める事は出来ない。

 それはわかっているけれど

 

 あの時

 もし違う事をしていてくれたら。

 

 今だから

 あれから心の病が取り沙汰されて

 わかって来た事があるから言える話だけれど

 

 

 弟に必要だったのはハルシオンじゃない。

 医療的に話を聞いてくれる事だった。

 

 話もろくに聞かず

 薬を渡された事に弟は失望し

 二度と医師を頼る事はしなかった。

 

 あの頃は

 それが日本の精神医学の限界だったのかも

 しれない。

 だけど 藁をもすがる気持ちで行った

 あの失望感は忘れない。

 

 

 目の前の医師は

 笑って言う。

 

  お薬を出しておきましょうね。

 

 待合室にいる人々。

 穏やかな偽物の安堵感。

 

 光が無くなった目。

 

 あの時から変わらない。

 時が止まったような

 薬だけを頼る日々。

 

 

 古い映画に

 カッコーの巣の上でという映画があった。

 

 罪を逃れる為に精神病を装った男が

 病院に本当の精神病にされてしまう話。

 

 あの主人公は最後に病院から逃げ出す。

 本当の自由を勝ち取る為に。

 

 あれと同じだよ。

 この場から逃げなくては 

 一生ここにいるの?

 

 恐怖すら感じる

 この場所から。