hanakosaanのブログ

猫と暮らす日々を気ままに書いてます。

いい子だ。

こんばんわ。hanakoです。

 

 今朝

 大阪のおばさんの所の

 おばあちゃん猫が亡くなりました。

 

 黄疸が出たりしていたので

 体も弱っていたし

 もうそんなに長くは生きられないと思っていた。

 

 14歳 寿命でもあったかもしれない。

 

 内縁の男性の家に行ってしまっていたおばさん。

 夜遅く猫達の様子を見ながら部屋の電気を

 消すのは私だった。

 

 部屋には2匹の猫がいた。

 どちらも気難しくて

 私が部屋に入っても見向きもしなかった。

 

 ご飯をあげて

 部屋の電気を消す。

 それが1年ほど続いた。

 

 いつだっただろう。

 電気を消して部屋を出ようとした私の足元に

 すり寄った猫がいた。

 

 ハナちゃんだ。

 

 特に気難しくて

 私が部屋を出ないとご飯も食べず

 私を遠くからじっと見ているような猫だった。

 

 

 電気を点けると

 私の足元に私を見上げているハナちゃんがいた。

 そっと頭に手をやると

 私の指の匂いを確かめて自分の頭を差し出した。

 私は静かに頭を撫でてやった。

 

 ハナちゃんの淋しさが

 指から伝わってきた。

 

 あなたでもいいから私を撫でて。

 そう 言っているようだった。

 

 

 人間と関わった猫は

 意外にもひとといるのが好きだ。

 

 マサくんとモチくんも

 私が出かけるとつまらなそうな顔をする。

 

 おばさんはほとんど部屋に居ない。

 猫たちは淋しいのだろう。

 

 ひとの気配のしない静かな部屋は

 なおさら淋しかった。

 

 

 亡くなる少し前

 ハナちゃんは私の膝に乗ってきた。

 抱っこが大嫌いなはずなのに。

 

 小さく喉を鳴らしながら

 膝の上から私を見上げている。

 私はそっと抱き上げると

 黙って目を細めて私の腕の中にいた。

 

 それから私が部屋に行くと

 抱っこをせがんできた。

 

 本当に少しの時間だったけど

 仕事へ行く前に毎日

 私はハナちゃんを抱っこした。

 

 いい子だ。

 いい子だ

 

 変なメロディを付けて

 繰り返し歌った。

 

 ハナちゃんは喉を鳴らしながら

 黙ってその歌を聴いていた。

 

 

 今朝

 おばさんの部屋に行くと

 

  ハナが死にそうです。

 

 おばさんの書いたメモのそばで

 ハナちゃんが虫の息だった。

 覚悟していた時が来たんだ。

 

 おばさんの姿がなかった。

 

 こんな状態なのに

 なぜ電話してくれなかったのか。

 なぜハナちゃんを一人にしておくのか。

 こんな時まで男の所へ行くのか。

 

 怒りがこみ上げてきた。

 

 いや

 そんな事はどうでもいいんだ。

 

 愚かなひとなんてどうでもいい。

 

 もう

 ハナちゃんに時間は無いのだから。

 

 私はハナちゃんを抱き上げた。

 ハナちゃんは気がついたようだった。

 大きく息をついた。

 

 ハナちゃん頑張ったね。

 

 いい子だ

 いい子だ。

 

 いつもの歌を歌った。

 

 一人じゃないから

 淋しくないんだよ。

 

 新しい所へ行ったら

 ボクやモナカが待ってるよ。

 仲良くしてやってね。

 

 やつれて大きくなってしまった目が

 私をじっと見ていた。

 

 しばらくして

 ハナちゃんの呼吸が止まった。

 

 

 

 逃げないよ

 私はおばさんみたいに逃げない。

 

 ハナちゃんの最期の時間を

 私は一緒に過ごそう。

 

 それが愛だと思うから。

 

 しばらくの間ハナちゃんを抱っこして

 魂が抜けたように冷たくなって行く

 ハナちゃんを寝かせて部屋を出た。

 

 

 お昼におばさんがやって来た。

 

 おばさんの言い訳が不快だった。

 何を聞いても嘘に聞こえた。

 

 おばさんにはわからないでしょ

 私とハナちゃんが共有した

 最期の時の意味を。

 

 ハナちゃんが私に伝えてくれた事。

 おばさんは絶対にわからない。

 

 

 仕事をしながら空を見上げた。

 今日は風もなく青い空だった。

 

 無事にみんなに会えたかな。

 

 気難しい事言わないで

 仲良くするんだよ。

 

 いい子でね。