hanakosaanのブログ

猫と暮らす日々を気ままに書いてます。

苦い思い出。

こんばんは hanakoです。

 

 昔

 私の家の近くに戸建ての市営住宅があった。

 

 垣根で仕切られた小さな平屋

 15棟位あっただろうか。

 

 建物の老朽化もあり

 そこは壊される事になった。

 

 そこに住む住人は

 少し離れた場所に建てられた

 5階建ての集合住宅に優先的に入れる事に

 なっていて

 少しずつ住人が引っ越して行った。

 

 新しい団地

 そこはペットは飼えない決まりだった。

 

 当然

 飼っていた猫や犬を連れていけない。

 

 中には次の飼い主を探してもらえた子もいた

 だけれど

 ほとんどの猫や犬は

 飼い主が引っ越した家に置いて行かれた。

 

 中には餌だけ貰っていた野良猫もいた。

 中途半端に飼い慣らされた猫は

 野生には戻れなかった。

 

 餌をもらえるのをじっと待つしかなかった。

 

 

 綺麗な新築の団地に無条件で入れるのだ。

 高い家賃のペット可の賃貸を探すよりは

 そこに入ろうとするだろう。 

 

 いや

 それ位のひと達だったのだ。

 

 

 立ち退き期限が来てしまったから

 とりあえず自分達は引っ越して

 次の飼い主が見つかるか

 どうするか決まるまで

 元の家に置いておく。

 

 

 そんな考えの人がほとんどで

 しばらくは餌をやりに1日1回位は来ていた

 のに

 タイミング悪く猫と会えない事が重なると

 居なくなってしまったのだろうと都合良く

 考えて来なくなってしまった人がほとんど。

 

 いきなり野良猫として生きなければ

 ならなくなった猫達。

 

 誰も居ない元の住処の家の縁側に

 毛玉をぶら下げてじっとしている猫。

 そばにはいつ置いていったのかわからない

 中味が干からびたネコ缶

 皿にも入れてもらえず 

 そのまま地面に置かれて雨でふやけて食べら

 れなくなったカリカリが

 ゴミとなって散乱していた。

 

 そんな光景があちこちで見られた。

 

 虚ろな目。

 

 なんとかしてやりたくても

 知らない私に近づく猫はほとんど居なくて

 みんな近づくと雨の中でも逃げてしまうので

 そばには近寄れなかった。

 

今の様に飼い猫に

避妊去勢手術なんてあまり考えられていなくて

そのまま放り出された猫達はどんどん子を産み

増えて行った。

 

 これが住宅街なのに

 このあたりに野良猫が異常に多い理由だと

 私は思っている。

 

 

 やがて建物は壊される時が来て

 置いていかれた犬は

 役所のケージに入れられた。

 

 住処を失った猫達は

 あちこちにちらばって行った。

 

 

 今みたいに動物愛護法など制定されていず

 あっても今みたいに厳しくなかった頃の話し

 

 その犬達がこれから何処でどうなるのか

 わかりすぎるくらいわかった。

 

 何も知らないケージの中の犬達。

 

 1週間に1回位

 

 飼い主がやってきて

 袋の中のドッグフードをひとつかみ

 犬にぶつけるように投げて帰る。

 

 自転車から降りるわけでもなく

 目を合わせる訳でもなく

 迷惑そうにそそくさと帰ってゆく。

 

 そんな薄情な飼い主にも

 犬は尻尾をちぎれるばかりに振った。

 

 それでも知らない私には吠えた。

 

 座るのもやっとの長さの鎖につながれて

 雨が降ると足が半分位水に埋まって

 座ることも出来なかった。

 

 そんな思いを2年近くして

 彼女は役所のケージに入れられた。

 

 飼い主がいる

 その理由だけで

 彼女に必要な世話を十分してやれなかった。

 

 雨の日に雨が流れ込まないように

 犬に噛まれないように

 ダンボールを張り

 天気になったら急いでわからないように

 はずす。

 そして時折 残り物のご飯をあげる。

 それが精一杯だった。

 

 私が無知だった為に

 野良猫として生きてゆけなかった猫が

 命を落とした。

 

 今だにあの出来事を思い出すと 

 心がひどく痛む。

 

 そんな苦い思い出が

 次の話に繋がって行く事になる。

 

 今日はここまで

    明日に続く。