hanakosaanのブログ

猫と暮らす日々を気ままに書いてます。

灰かぶりの腕のシミ。

こんばんわ。hanakoです。

 

 私の右肘には大きなシミがある。

 

 幼い頃は腕も細いから 

 茶色いシミは濃く目立った。

 

 女の子なのに体にシミがあるなんて 

 嫁入りに支障が出たら。

 私を溺愛していた伯父はいたく心配し

 母親に私を病院に連れてゆくようにと言った

 

 皮膚科

 美容整形外科

 考えつく全ての所へ行ったけれど

 生まれつきのこのシミは取れないと

 当時は言われた。

 

 伯父は落胆したが

 叔母や母親は呑気なものだった。

 

 私自身も自分から見えない肘のシミなど

 気にならなかった。

 

 

 母親はある日

 私にこんな話をした。

 

  位の高い人や

  お金持ちの人がね

  子供が赤ちゃんの時に亡くなると

  体のどこかに墨で印をつけるんだって。

 

  その子が生まれ変わった時に 

  その印で自分の子の生まれ変わりだって

  わかるように。

  その印の子を探してるんだって。

 

  きっとお前は  

  その生まれ変わりなんだよ。

 

 

 今思えば随分とやっかいな話だ。

 もしその親が私を見つけて返してくれと

 言ったらどうするつもりなのだ。

 

 お金で解決するつもりなのか。

 

 女の子なら憧れるお姫様。

 私はそうなのかもしれない。

 しかし今は立派な灰かぶりだ。

 

 いつかお金持ちの両親が

 目の前に現れたらどうしよう。

 どんなドレスを着せて

 私を連れて帰るのだろう。

 

 どんなお城に住めるのだろう。

毎日不二家のケーキがおやつに出るのだろうか

 

 灰かぶりは夢を見ていた。

 

 

 月日は流れて

 私は大人になっていった。

 

 お姫様の話は頭の片隅にあったけれど

 現実に気がついた灰かぶりは

 ただの平民として生きていた。

 

 当たり前だけれど

 お迎えは来なかった。

 

 灰かぶりは

 シミのことなど忘れて行った。

 

 

 今朝

 久しぶりに肘を見た。

 

 あれ?

 

 シミが消えている。

 

 あんなに濃く

 まさしく筆で付けたような大きなシミ。

 

 何処へ行っても消せないと言われたシミが

 無くなっていた。

 

 正確に言えば

 うっすらとそこにあっただろうな位に

 薄くなっていた。

 

 

 もしかしたら

 探していた両親が他界して

 もうシミはお役御免になったのかもしれない

 

 だとすれば

 とうとう

 親子の再会は実現しなかったのだな。

 

 

 ふっとため息が出た。

 

 そんな訳ないじゃん。

 私は 私だ。

 

 それが本当ならば

 4人の親はすべてあの世へ行った。

 

 今頃4人で

 私の取りっこでもしているのだろうか。

 

 

 バカな事考えるなよ。

 

 さぁ

 出かけよう。

 

 魔法は解けてしまったのだから。