hanakosaanのブログ

猫と暮らす日々を気ままに書いてます。

あっぱれ。

こんばんわ。hanakoです。

 

 仕事の帰り

 いつものスーパーに寄ると

 

  hanakoー!

 

 誰かが手を振っている。

 あっ 侑子だ。

 

 久しぶりだね。

 

  姿見えないから死んだと思った?

 

 悪戯そうな顔でそう言う侑子。

 あんたが言うと冗談に聞こえないから

 笑えなくなっちゃうよ😅😅😅

 

 

 侑子は高校の同級生。

 

 選択教科が違うので教室の階が違い

 同級生と言っても顔を見た事がある位だった

 しかし侑子は有名人。

 

 なぜなら

 あと3 ヶ月で卒業の時に駆け落ちしたから 

 

 相手は確か25歳以上年上のオッサン。

 しかも妻子持ち😥😥😥

 

 学年中で騒然となった。

 

 担任の努力で

 何とか卒業はしたけれど

 本人不在の卒業式になった。

 

 それから月日は経って

 23歳位の時に侑子を街で見かけた。

 

  げっ!(°ー°〃)

 

 自転車の前と後ろに子供を乗せて

 おまけに背中に首の座らないような

 赤子をおぶっていた。

 

  久しぶりー!

 

 私に気がついた侑子が手を振る。

 

 あんた戻ってきたの?

 

  うん。

  旦那の親が世話が必要だから。

 

 えっ?😅😅😅😅😅 

 俗に言う介護だ。

 

 話を聞けば

 しばらく他県に住んでいたけれど

 1年前に地元に戻ったそうだ。

 

  免許取るお金使っちゃったからさ。

 

 弟のお下がりだと言うヨレヨレの自転車。

 

 冗談とも本当ともつかない話。

 私の住む街では

 車の免許を持たないのはとても不便だ。

 まして子供3人もいたら😅😅😅

 

 それから自転車で走る侑子を

 よく街で見かけるようになった。

 

 旦那の実家と

 ボロボロのアパートを行き来しながら

 侑子は義親の世話をしていた。

 

 20歳そこそこの私には理解出来なかった。

 

 自転車で走る侑子を

 街の人は良くは言わなかった。

 

 それを知ってか知らずか

 侑子はまるで気にしていないようだった。

 黙々と自転車を走らせ

 山のような買い物をして帰って行った。

 

 すごい根性だな。

 まぁそれ位じゃなきゃ

 18位で駆け落ちなんてしないか😌😌😌

 

 それからスーパーで

 時折侑子を見かけるようになった。

 

 私が花屋さんに勤め出すと

 親戚達の誕生日に

 自転車で花を買いに来た。

 

 受け取ってもらえるかわからない花を

 毎回侑子は買いに来た。

 

 20代後半

 侑子は内職をしていた会社を

 そっくり買い取り社長になった。

 

 しかしやる事がいつもいつも凄いなぁ。

 

  旦那の養育費払わないとならないから。

 

 😅😅😅😅😅

 あんた いらん苦労ばかりしてない?

 

 働く 働く

 あっと言う間に社員20人の

 大きな工場になった。

 

 子供の面倒みながら

 義親を看取り

 そして30歳初めに右腕が骨肉腫になった。

 

 病気がわかり

 右腕を切断しなくてはならないかも

 しれない頃侑子に会った。

 病気の事を聞くと

 

  利き腕無くなると

  次男の小学校入学の上履き袋

  縫ってやれなくなるのよね。

 

 侑子あんたは

 そんな事を心配しているのかよ。

 

 それどころじゃないだろ

 命だって取られるかもしれないのに。

 

 

 幸い切断はしなくて済んだけれど

 それからは病との闘いだった。

 

  ひとの旦那取ったから

  バチが当たったのよ。

 

 あっけらかんと話す侑子。

 

 同窓会も私が行くと空気が悪くなるからと

 誘っても絶対来なかった。

 

 ただひたすら働いていた。

 

 時折スーパーで会うと

 

  死んだと思った?

 

 あの冗談とも取れない言葉が

 合言葉の様になった。

 

 

 最近は工場もひとに売って

 姿が見えなかった。

 

 どうしていたのか。

 病気が進んでいたのか。

 

  歯茎に癌が出来てね

  手術したばかりなのよ。

  あちこち転移してるみたい。

  たぶん今度は無理かなぁ。

 

  旦那も入院中でね

  多分もう家には帰れないと思う。

  私より早く逝くだろうな。

 

 側には次男がぴったりと

 寄り添っていた。

 

 あの時

 上履き袋を縫ってもらった子だ。

 

 侑子は子供達の持ち物を必ず手作りしていた

 どんなに忙しくても。

 

  私さ

  隣の街でまた会社始めたの。

 

 侑子が働けなくなったら

 子供達3人が後を継ぐそうだ。

 

  子供達にこれしか残してやれなかった

  けどね。

 

 凄いなぁ侑子。

 

  後ろ指ばかり指されたけど

  まぁ いい人生だったわよ。

 

 そう言った侑子の顔は晴れ晴れしていた。

 

 あんたのやった事は

 褒められる事じゃないけれど

 頑張ったよ

 それは認める。

 

 あっぱれ。

 

 まだ頑張れよ 侑子。