hanakosaanのブログ

猫と暮らす日々を気ままに書いてます。

かっぱ巻き。

こんばんわ。hanakoです。

 

 今週のお題「お寿司」

 (実は何の事だか良くわかっていない😅😅)

 

 みなさんがブログの中で

 お寿司について話しているので

 私もお寿司の思い出を話そうかと思います。

 

 

 子供の頃住んでいたアパートの坂の下に

 お寿司屋さんがありました。

 

 アルコール依存症の父親は仕事が終わると

 まっすぐ家には帰らず

 あちこち行きつけの飲み屋にまわり

 最後にそのお寿司屋さんにひっかかるのが

 毎日の事でした。

 

 母親と夕食を済ませ

 テレビを見ていると

 

  hanako 迎えに行ってきて。

 

 時計を見ながら母親が私に言います。

 

 見たいテレビなのに。

 だけど母親に逆らう事も出来ず 

 私はサンダルを履き外へ出ます。

 

暗い坂道を下るとお寿司屋さんが見えてきます

 明るい店先とのれんが掛かった入り口は

 子供には開けづらい。

 そーっと戸を開けると

カウンターにいるお客さんが一斉に私を見る。

 もう心臓はドキドキ。

 

  パパ いますか?

 

 小さな声で私が言うと

 カウンターの中の大将が父親を指差す。

 怖そうな大将。

 

 いつもの一番奥の席で

 父親は酔いつぶれて眠っていました。

 

 私は小さくなりながら

 カウンターのお客さんの後ろを通り

 父親の所へ行き 父親に向かって

 

  パパ帰ろう。

 

 そう言うと

 父親は目を開きポケットからクシャクシャの

 お札をカウンターに置いて

 フラフラと私の後をついて店を出ます。

 

 暗い坂道を登って部屋に戻ると

 母親と父親のケンカがはじまり

 私は部屋の隅で小さくなっていました。

 

 

 ある日いつものように父親を迎えに行くと

 珍しく父親が起きません。

 どんなに酔っていても私の声を聞けば起きる  

 のに。

 早くこの場を去りたい私は泣きそうになりま

 した。

 

 すると大将が

 

   そこ 座りな。

 

 怖い顔をして父親の横のカウンター席を

 指差しました。

 

 きっと怒られるんだ

 父親が起きないから店に迷惑をかけている。

 子供心にそう思いました。

 

 私は言われたように席に座り

 小さくなってうなだれていました。

 

 スッと私の目の前に

 玉子焼きときゅうりが入った巻き物が

 置かれました。

 

 私がビックリして顔を上げると

 相変わらず怖い顔の大将が

 

  それ食べて待ちな

  

 醤油を小皿にさしながら私に言いました。

 

 そしてカウンターの中から出てきて

 冷蔵庫に入っていたジュースの栓をぬいて 

 私の横に置きながら

 私の頭をポンポンと軽く叩いて

 カウンターの中に戻りました。

 

 私は恐る恐るお寿司を口に入れました。

 甘い玉子焼き。

 瑞々しいきゅうりの巻き物。

 初めて食べたお寿司でした。

 

 大将は私の方を見ることもなく

 相変わらず怖い顔でお客さんが注文する

 お寿司を握っていました。

 

 怖い顔の大将は

 とてもやさしいひとだった。

 

 大人になって

 あのきゅうりの巻き物がかっぱ巻きという

 名前だという事を知りました。

 

 今では回るお寿司も出てきて

 みんなでワイワイ気軽に食べられるように

 なったお寿司。

 

 でも

 かっぱ巻きを見るたびに

 あの大将の怖い顔を思い出します。 

 やさしい大将の顔を。

 

  hanako かっぱ巻き好きだねぇ

  また 食べてる。

 

 そうだよ

 私の思い出の味なんだよ。

 

 ひとのやさしさを

 はじめて感じる事ができた味なんだ。